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主に二次創作(現段階ではネギまのクロス物)を載せようと思うブログ
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「―――Ein Schwert des Windes, darum zu schneiden!!」


 イリヤの手より放たれる風の刃は襲い掛かってきた悪魔を躊躇なく切断した。


「全く、一体何体の悪魔がこの村を襲ったのかしら?」


 風の魔術によって消えていく悪魔を見ながら呟く。


「さて……ネギ君、スタンさんの家だっけ? 何処なの?」

 
「えーと……あ、あそこだよお姉さん」


 辺りの家が燃えている中、一軒だけ全く燃えていない家を指差すネギ。

 その家は無色透明の結界が張ってあるみたいで、完全に炎を遮断していた。


「結界に包まれた家か……確かに村の生存者が居そうね、じゃあ早く行きましょうか」


 周りに悪魔の気配が無いことを確認すると、ネギの手を持ってイリヤはネギが指差した家に向かって歩き出した。

 そして、その家まであと数十メートルと言う距離に達した時だった。突如、その家の扉が開き中から一人の少女と

 その少女を追うように一人の老人が飛び出してくる。


「ネギ!!」


「無事かぼーず!!」


「ネカネお姉ちゃん!! スタンお爺ちゃん!!」


 ネギが飛び出してきた二人に駆け寄り、また少女と老人もネギに駆け寄る。

 名前から察するに、おそらくこの二人がネギが探していた人物なのであろう。


「よかったネギ……無事で本当に良かった」


 ネギを抱きしめて目に涙を浮かばせながら喜ぶネカネ。しかしそれも一瞬で、ネカネはネギを後ろに庇い

 イリヤに警戒を隠そうともしない視線を向ける。

 また、スタンもネカネの前に立ち二人を守るように杖を構えた。

 
「お主は一体何者じゃ?」


 そうイリヤに問いかけるスタン。もし、イリヤが敵であるのならば即攻撃を仕掛けるつもりであろう。

 もちろん、そんな相手の意思表示にイリヤが気が付かないはずが無い。

 とりあえず自分に敵対表示が無いことを示そうと、簡潔に自己紹介を済ませる事にしたが……


「あら? 随分な言い草ね、私は――――」


 突如イリヤは返答を途中で中断し、スタンに……正確にはその隣の空間に目を向ける。

 そしてどこからともなく出した黒鍵をその空間に向けて投擲した。

 放たれた黒鍵は正確にその空間を飛翔し、見えない何かに突き刺さる。

 黒鍵が突き刺さり姿を現したのは悪魔だった、どうやらこの悪魔には周囲に溶け込む能力があるみたいだ。


「オ……ノレ…ナゼ…ワカッ―――」


 言い切る前に突き刺さった黒鍵に刻まれた火葬式典により悪魔が炎上し消滅する。


「とりあえず、話はこの悪魔達を片付けてからにしましょう」


 同時に物陰に隠れていた悪魔達が姿を現す。数は6と言った所だろうか、先ほどに比べかなり数が少ないのは

 ナギの戦闘によって殆どが倒されたからであろう。


「わかった、どうやらお主は敵ではないようじゃからな」


 もしイリヤが敵であったのならスタン達をを助けるような事はしないだろうし

 なによりネギを無事に此処まで連れて来ている。そして何よりスタンたち三人を守るように構えている

 所を見ると、ほぼ確実に味方なのだろうと推測する。

 
「この悪魔達は私が引き受けるから、貴方はその二人を守ってあげなさい」


 スタンにそう言うと、直ぐに黒鍵を二本程何処からとも無く取り出してから魔術構成を編む。

 一方、スタンも「わかった」と頷き、ネカネとネギを取り囲むように結界を展開する。

 それを確認して、イリヤは構成した魔術を解き放った。


「―――Ein verbrennender Flus!」


 ゴォッ!!


 イリヤの魔術行使により4体の悪魔が炎に包まれ焼滅する。複数の同胞が簡単に消滅したのを見て

 危険と思ったのか、残った四速歩行型の二体の悪魔達は魔術を使われる前に始末しようとイリヤに

 襲い掛かろうとするが、動く前にイリヤが投擲した二本の黒鍵に貫かれて炎上し消滅する。

 姿を現した六体の悪魔が完全に消え去ったのを確認すると、周囲への警戒は解かずに三人の方に振り向く。


「終わったようじゃの」


 スタンも悪魔が消えたのを確認したのか、結界を解く。

 かなり強力な結界を展開していたのだろうか、結界が完全に消えるとスタンはふらついた。


「スタンさん、大丈夫ですか!?」


「スタンお爺ちゃん!?」


 ネカネとネギが慌ててスタンを支える。


「大丈夫じゃ、十数年ぶりに強力な結界を張ったのでな少し堪えたわい……

 とりあえずお主も此方に来てくれんかの? キチンと礼を言いたいのでな」


「わかったわ」


 そう返事を返し、一歩踏み出そうとした所で突然イリヤは何かを感じ一気にスタン達の元に跳ぶ。

 そして、一瞬遅れてイリヤがいた所に光線が走り抜けた。


「全く、まだ生き残りの悪魔がいたのね」


 光線の発生源を見ると其処には先ほどの悪魔達とは比べ物にならないほどの威圧感を持つ悪魔がいた。

 悪魔の口が開き其処に光が集束され、再び光線となって四人に襲い掛かる。


「伏せなさい!!」


 イリヤは咄嗟に三人を押し倒し伏せさせる事によって光線を回避する。

 的が外れた光線は、やがて延長線上にあった木に当たる。

 すると、その木は見る見るうちに石化し直ぐに石の木に変貌した。


「強力な石化能力……どうやら此処の村の人たちを石像に変えたのはあの悪魔で間違いなさそうね」


 さて、どうしようかな? とイリヤが対策を考え始めた時だった。


「お嬢ちゃん、少し奴の足止めを頼めるかの?」


 ふと、スタンがイリヤに話しかけた。


「何か方法があるの? 私の見立てだと、あの悪魔は結構上位に位置すると思うわよ。

 そう簡単に倒せないと思うけど?」


「おぬしの言う通りじゃが、何も倒すだけが勝利という訳では無いじゃろ?」

 
 そう説明すると、スタンは懐から小さな瓶を取り出す。小さいながらもその瓶は強力な

 魔力が篭っているようである。それを見たイリヤはなるほどと頷いた。


「封印って訳ね。それじゃあ、後はまかせたわ」


 スタンがやろうとしている事を理解すると、イリヤは■■■■を起動して

 三歩ほど前に出る。そして、右腕を悪魔に向け無数のガンドを放った。

 しかし相手も甘くない、ガンドの軌道を見切り数発は当たるものの殆ど回避する。

 もちろんこれもイリヤの想定内、ガンドで倒せるなどとは思っていない。ガンドを放ったのは

 あくまで魔術詠唱に必要な時間を稼ぐためである。


「―――Eine Versiegelung、Gyve vom Frieren!!」


 イリヤが構成していた凍結魔術を発動させた。

 開放された凍結魔術は悪魔の体を凍らせ動きを封ずる。その氷の拘束から逃れようと悪魔は

 凍った部分を殴るが、魔術が強力だったせいか氷が少し砕けるだけであった。

 ただ、今回の魔術はあくまで悪魔を拘束するため物であり、ダメージは期待できない。

 さらに、時間が立てば氷が解けて再び悪魔は動き出してしまうのだ。


「今よ!」


 完全に動きを封じ込めたのを確認して、イリヤはスタンに合図を送った。


「六芒の星と五芒の星よ、悪しき霊に封印を 封魔の瓶!」


 スタンの呪文詠唱によって、その小さな瓶の力が発動した。瓶を中心に魔方陣が展開され

 凍った体ごと悪魔を吸い込む。そして悪魔は抵抗することも出来ずに、瓶に封印された。


「ふう、なんとか上手くいったようじゃな」


 溜息をつき、汗を拭うスタン。もう、出てこないところから今の悪魔が最後のようだ。

 ネカネもネギも先程までの緊張がほぐれ、安堵していた。


「とりあえず、お互いの紹介は後にして此処を離れて何処か安全な所に移動しない?」


 もはやこの村は殆ど壊滅状態だ。住居は完全に燃えており、辺りを見渡しても

 火がついていないところは無い。もう、魔術ではどうにも出来ない状態であった。

 唯一の救いと言えば、悪魔達の犠牲になった村人のほぼ全ての人間が石化しており

 炎で死ぬ事は無いという事、後は石化した人が砕かれていないと言う所だろう。


「そうじゃな、ではワシに付いて来てくれるかの?」


「ええ、そうさせてもらうわ」


 そうして、イリヤはスタン達の案内でその場を後にした。

 

―――続く―――

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面白いです~
悪魔すべて處理完了。
次回早くみたいです~>.<
崔軍喜(Choi Goon-hee) 2007/07/24(Tue)02:25:31 編集
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